わざわざ人が作り出した問題に取り組まされるという拷問

出向先での業務は、人為的に生じた課題への対応が多い。例えば、「組織がこう変わったからこれをしないといけない」、「あれをすることになったからこれをしないといけない」、「誰が来るからこれをしないといけない」といったものだ。逆に言えば、(特にメリットもないのに)「組織を変えなければ」、あるいは「あの人が言い出さなければ」生じなかった課題だ。

一方、研究現場で扱っているのは自然法則で生じることが運命づけられている課題で、それに自然法則の範疇で挑んでいるのだ。だから、本当の意味での裏技は存在しない。一見裏技に見えても、人間が認識しにくかっただけで自然法則に則っている超正統派な正面突破だ。

翻って人為的な課題は、真の意味での裏技が存在する。例えば、偉い人を説得して組織変更をやめるとか、やらなくていいと言ってもらえばそんな課題はなかったことになり解決する。人が作った問題に取り組んでいるおままごとだから、やめることだってできるのに、わざわざ課題を作っているだけなのだ。

我々科学の世界に生きている人種には、こういう問題に取り組まされるのは大変なストレスだ。